ナナン

ナナの声をきく者 ナナの目でみる者とは?新しい神話が紡がれる――    〜2006/10/5〜11/23*全50話〜

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構図

 翌日はわたしたちとスナイとでホキパニの丘に向かった。
 スナイがマリさんに見せたいと言い出したのだ。
 今度は道を知っているイサクが運転し、わけが分からず混乱してゆうべ眠れなかったケンはいびきをかいていた。
 ホキパニの丘は明日のたいまつの準備が進められていた。スナイを見ると町の人々は笑顔になって手をふった。
 スナイもそれに答えてニコッとした。
 あすの祀りを司るのはこのそばかすの浮いたきゃしゃな赤毛の少年なのだ。
『見て。』
 スナイはナナマウンテンを指差す。
 マリさんはうなずく。
 わたしは気がついてきいた。
『スナイ、マリさんはなんなの?やっぱりスサナなの?』
 振り返ったスナイの顔からぽーっと灯りがともるような笑みがこぼれた。
 マリさんの方をむくとうなずいて、
『ルカック以外のアムタに会ったのは僕は初めてです。』
『えっ!』
 わたしは気がついた。
 そうだった。この目。
 スナイと同じ目だったからわたしは思わず話し掛けてしまったのではなかったか?
『マリはアムタで銀河の水路です。空ゆく舟が俯瞰して地図を見つけ、開き、上昇を始めます。翼ある蛇が上昇を助け、彼らを柵をして守るのは翼の盾で、そこに銀河の水路から水脈が流れ込むのです。』
『そんな構図があるの?』
『けさきいた。』
『え?』
『”ナナ”から。』
『ああ、けさも登ったものね。』
「俺は聞いてないっすよ〜。」
 ケンがねぼけまなこでつぶやいた。
「分かった分かった。」
 わたしたちは笑った。

 帰りにマーシとゴジィの店に寄った。
 ふたりは上気した顔で歓声をあげた。
『来たね!ようこそ、”ナナ祭”へ!メンバーが増えたじゃないか。よく来た!』
『やっぱりお祭りをひかえてなんだか町全体が浮き立ってるわね。』
『ゆっくりしてね。』
 マーシが人数分飲み物を運んできた。
『そうそう、スナイ、さっきホキパニの丘でマリさんと会った時を思い出したんだけど、その時にハスの花のつぼみと十三重の塔をみたんだけどどういう意味だと思う?』
 スナイが一瞬黙ったかわりに、マリさんが気づいたように言った。
『ハスは泥の中で聖なる花を咲かせるものだから、もしかしてそのつぼみであるとはげましたかったんじゃない?』
『なるほど。』
 イサクが合いの手をいれた。
 スナイは言った。
『十三というのはわれわれの兄弟であるマヤでは聖なる数です。』
『そのてっぺんに金の珠が輝いていた・・。』
『ナナ、ヤマトタケルが金星を指したと言っていたわね。』
 マリさんがふと思いついたように聞いた。
『?・・ええ。』
 スナイが顔をあげた。
『マヤの大事な神はケツアルコアトルといって翼の生えた蛇と言われています。そして、それは金星の神だとも。』
『ヤマトタケルが、支援は整ったと言ってくれたみたいね。』
 マリさんはりりしい顔になってそう告げた。

 屋敷に帰ると車が止まっていた。
 スナイはニヤッとすると言った。
『バッティだ。』
 リビングで大荷物に囲まれていたのは黒髪の背の低い小太りの少年だった。困ったような顔をしてスナイに手をあげた。
『よく来たね。』
『うん。来たのはいいんだけどさ、レポートが終わらなかったからパソコンも持ってきたんだ。だけどさ、必要なコード忘れちゃったんだ。バッテリー切れかかってるし。ここんちパソコンの関係ないだろ?雑貨屋にだってそんなもん置いてないよな。』
 わたしはスナイが可笑しそうに笑っていたわけがわかった。
 ほんとうにバットが口癖なのだ。
 スナイは言った。
『祭りの日くらいはパソコンからはなれなさいってことなんじゃない?』
『だけど間に合わないんだぜ。そんなこといってたら。』
『だいじょうぶさ。間に合うよ。僕がそう言った時でそうでなかったことはなかったろ?』
『だけど、今度のレポートはちょっと大変なんだぜ?』
 スナイは含み笑いを隠しきれない様子で彼の話をさえぎると、
『紹介するよ。こっちがナナ。そしてイサク。マリ。そしてケンだ。』
『彼がバウアーです。』
 バウアーはわたしたちに初めて気がついたようにちょっと堅くなってうなずいて、スナイにうながされて手を出した。
 わたしたちは笑顔をむけて彼と握手した。
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