ナナン

ナナの声をきく者 ナナの目でみる者とは?新しい神話が紡がれる――    〜2006/10/5〜11/23*全50話〜

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レーネン

 ドアが開く音がして靴音がした。
『スナイ!みえたんだね?』
『父のレーネン・ルカックです。紹介します。』
 スナイとよく似た赤茶色の髪で深い瞳をした紳士が慈愛のこもった笑顔でリビングに入ってきた。
『ようこそナナ。』
『ようこそイサク。』
 あたたかくて大きな両のてのひらでつつみこむように握手する。
『スナイにきいてます。きょうはスナイがおふたりをお迎えしている間にナナマウンテンに登ってきました。引退してからはずいぶんひさしぶりのことです。』
『いや、エラク歓迎していただいてとまどっているんですが、なにかわたしたちに期待されているようで。』とイサク。
『はははは。おラクに。』
 全員ソファーに座り直した。
『ナナ、あなたの母方の家系に神社の神祀りをされている方がいらっしゃるでしょう?』
 唐突で意外な言葉に絶句した。
『それは・・。なぜ・・?』
『驚かせてすみません。イサク、あなたのひいおじいさんはハワイにいたことがあります。』
「えっ・・?」
 それは本当だった。ハワイに渡ったがからだをこわして日本にもどってきたと以前きいたことがある。
『なぜこんなことをいうのかと申しますと、ここへくることは必然だったと申し上げたいのです。』
『・・・。』
『ルカック家がそうであるようにある役割の家系というのがあります。それからバランスをとるために役割を負う、ということもあります。』
『?』
『ナナの家系には神なじみがあり、イサクはひいおじいさまのハワイでのおこないのバランスをとるためどうやらナナのサポートをするようです。ひいおじいさまはハワイの聖地を犯したためにからだをこわしました。深刻なものではありませんがあなたがバランスを修復します。』
『ハワイでのことをここでですか?それも今頃?』
『距離というものは存在しません。そして時も「時」自身がその時を選びます。』
 どこか観念するような気分になってきて言った。 
『わかりました。それじゃ、”ナナ”のおはなしをきかせてください。』
 イサクも神妙な顔になって組んでいた足をはずし、身をのりだした。
 レーネンはスナイをうながした。退いたもののルールを守っているようだった。
 スナイはうなずくと静かに語りだした。
 語るときのスナイはとても10代の高校生には思えなかった。どこか「当主」としての威厳が感じられた。 
『この地上には様々な古い民の神話が伝わっています。日本神話もそうですし、アメリカでいえばネイティブ・アメリカンのホピの神話、メキシコではマヤ。オーストラリアではアボリジニ。ヨーロッパではケルトなど、たくさんあります。ルカックの”ナナ”もそのひとつですがそのどれもに共通するものはなんだと思いますか?』
『来た道を示し行き先を照らしている?』
『そうです。けれどもそれに耳を貸すひとは年々減っています。もちろん少数の根強い”耳のあるひとびと”がいることも事実です。けれどもそろそろそれでは間に合わなくなってきた。そう”ナナ”はいっています。』
『ちょっとごめんなさい。あなたは”ナナ”と会話するのですか?』
『人と話すような会話じゃありません。けれども交信はしています。”ナナ”は映像としてみせてくれることもあれば、言葉を超えたやり方で直接触れてくることもあります。』
『それがわたしもきいた鳥のささやきのようなもの?光の洪水?なんだか一気に意味が伝わったんだけど。』
『そう。』
『ところで”ナナ”とはいったいどういう存在なの?他の文化の神に例えられますか?全く違うとしたらどういうところが?』
『出どころは他のたくさんの神と呼ばれる存在と共通です。けれども降り口に応じて祀る人間に応じて表現のされかたは変わります。けれども目的はひとつなので栗のいがのようなものだと僕は思ってます。』
『栗のいが?』
『真ん中の実りは共通でそこからたくさんの手のようないががはえてるってこと。その手のひとつだと思うのですが、栗は栗です。』
『なるほど。』
『軽い食事の用意が出来たので庭へいかが?』
 いつのまにか席をはずしていたワシリーが輝くような笑顔をむけてうながしにきた。
 わたしもイサクも我に返ったようにうなずいた。
『ええ、ありがとうございます。』
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